家族滞在ビザの取得条件と必要書類|不許可を防ぐ注意点も解説
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)は、日本に中長期で在留する外国人(扶養者)の配偶者や子が、扶養を受けながら日本で生活するための在留資格です。この記事では、申請取次の実務で特に差が出る「扶養の説明」「身分関係の立証」「資格外活動(アルバイト)」「不許可を避ける準備」を、分かりやすく整理します。
結論(この記事でわかること)
- 家族滞在は「配偶者(法律婚)・子」が対象で、審査の核心は扶養の実態(収入・住居・生活設計)です。
- アルバイトは原則不可。するなら資格外活動許可(包括)が必要で、原則週28時間以内です。
- 不許可の多くは「収入の説明不足」「婚姻・親子の立証不足」「資格外活動の違反」。客観証拠のセット化が最短ルートです。
- 家族滞在ビザとは
- 取得条件(誰が申請できる?)
- 申請パターン(呼び寄せ/変更/更新)
- 必要書類(チェックリスト)
- 審査で見られるポイント(注意点)
- 収入の目安は?(自己チェック用モデル)
- 家族滞在で働ける?(資格外活動許可・週28時間)
- 不許可になりやすいケースと対策
- よくある質問(Q&A)
- まとめと関連情報
家族滞在ビザとは
- 対象:扶養者に扶養される配偶者(法律婚)または子。
- 趣旨:「扶養を受けながら日本で生活する」ための資格で、就労目的の在留資格ではありません。
- 就労:原則不可。アルバイト等は資格外活動許可が必要です。
取得条件(誰が申請できる?)
1. 申請できる家族の範囲
家族滞在の対象は、原則として配偶者(法律婚)と子です。両親・兄弟姉妹は原則対象外なので、別の在留資格・制度の検討が必要になります。
2. 扶養者(呼ぶ側)に求められること
- 在留資格に沿った活動をしていること(例:就労・留学など)
- 扶養できる収入・資力があること(課税/納税・給与・預金・支出バランス)
- 生活基盤が説明できること(住居、同居予定、生活設計)
3. 申請人(来日する家族)に求められること
- 身分関係が真正であること(婚姻・親子関係の証明)
- 扶養を受ける実態があること(生活費の支弁方法が合理的であること)
申請パターン(呼び寄せ/変更/更新)
A:海外から呼び寄せ(在留資格認定証明書:COE)
- 日本側(扶養者)が書類を準備して入管へ申請
- COE交付後、海外の日本大使館・領事館で査証申請
- 入国→在留カード受領(中長期在留)
B:日本国内で家族滞在に変更(在留資格変更)
例:留学→家族滞在、就労資格→家族滞在など。生活基盤が変わるので、扶養の合理性と生活設計を丁寧に説明します。
C:家族滞在のまま更新(在留期間更新)
更新では、同居・扶養実態、扶養者の収入・納税、家族の生活状況が重視されます。提出書類は更新用の一覧(PDF)を基準に準備します。
必要書類(チェックリスト)
申請区分(認定/変更/更新)で細部は異なりますが、家族滞在で特に重要な書類は次のとおりです。まずは入管庁の提出書類一覧(PDF)を基準にしてください。
- 申請書(認定/変更/更新の別)
- 写真(縦4cm×横3cm、申請前6か月以内等の規格に注意)
- 身分関係を証する文書(戸籍、婚姻届受理証明、結婚証明、出生証明 等)
- 扶養者の在留カード/旅券写し
- 扶養者の収入・納税・職業を証する文書(課税/納税証明、在職証明、給与明細、確定申告控え 等)
- 住居・同居を説明する資料(賃貸借契約書、住民票、間取り、同居予定の説明 等)
- 補強資料(必要に応じて):送金履歴、家計収支表、交際経緯書、写真、子の在学資料 など
審査で見られるポイント(注意点)
1. 「扶養」の説明ができるか(ここが最重要)
家族滞在は「扶養される」ことが前提です。収入が少ない、家族人数が多い、家賃が高いなどの場合は、生活費の支弁方法と合理性を資料で補強します。
2. 婚姻(配偶者)の実体:形式婚と疑われないこと
- 交際〜結婚が短期間で資料が少ない
- 同居計画が曖昧/住居が過度に狭いなど合理性が弱い
- 面会・連絡・送金などの客観証拠が乏しい
この場合は、交際経緯書+写真+通信履歴+面会・渡航履歴+同居計画(住居)を時系列で整理すると、説明が通りやすくなります。
3. 子どもの場合:親子関係と生活設計
出生証明等で親子関係を明確にし、年齢・就学・扶養者の収入で生活可能かを整理します。
4. 扶養者の在留状況・納税
更新・変更では、扶養者の在留活動の継続性(転職・退職・休学など)や納税状況がチェックされます。変化がある場合は、理由と今後の見通しを説明できる資料を用意します。
収入の目安は?(自己チェック用モデル)
家族滞在に「年収○円以上」という一律の公表基準はありません。審査は、家族人数・地域・家賃・扶養者の手取り・貯蓄・支出の現実性を踏まえた総合判断です。そこで、申請前に「扶養の合理性」を説明しやすくするための自己チェック用モデルを示します(あくまで目安)。
モデル1:配偶者を呼ぶ(世帯2人)
- 固定費:家賃+光熱通信+保険料+交通
- 変動費:食費+日用品+医療+雑費
- チェック方法:扶養者の手取り収入 -(固定費+変動費)=毎月の余力がプラスか
提出では、上記を1枚の家計収支表(見込み)にして、給与明細・課税/納税・預金残高と整合させると強いです。
モデル2:配偶者+子1人(世帯3人)
- モデル1に加え、教育費(保育・学用品等)や医療費の見込みを計上
- 貯蓄がある場合は、残高証明/通帳で補強(収入が伸びる見込みがあるなら雇用契約・昇給見込み等)
実務のコツ(収入が強くないとき)
- 家賃が高いなら、住居の見直しや同居形態を現実的にする
- 扶養者が留学等で収入が限定されるなら、奨学金・預金・送金計画を証拠化
- 「働いて補う」は原則NG。家族滞在は扶養が前提で、働くなら資格外活動許可(週28時間)が必要です。
家族滞在で働ける?(資格外活動許可・週28時間)
家族滞在で収入を伴う活動(アルバイト等)をするには、原則として資格外活動許可(包括許可)が必要です。許可を得た場合、原則1週28時間以内の範囲で就労できます。
- 許可の基本要件:資格外活動により、現在の在留資格に係る活動の遂行が妨げられないこと等。
- 時間超過は大きなリスク:更新・変更で不利になる可能性があるため、シフト管理・勤怠記録を徹底。
不許可になりやすいケースと対策
ケース1:収入の説明が弱い(扶養の合理性が見えない)
- 対策:家計収支表(見込み)を作成し、課税/納税・給与明細・預金残高と整合させる。家賃や支出が高い場合は見直しも検討。
ケース2:婚姻の実体が薄い(形式婚を疑われる)
- 対策:交際経緯書+写真+通信履歴+面会・渡航履歴+同居計画(住居)を時系列でセット提出。
ケース3:別居期間が長い/同居計画が曖昧
- 対策:別居理由(勤務等)の合理性+生活費支弁(送金等)+同居の時期・住居を具体化。
ケース4:資格外活動の違反(許可なし就労/時間超過)
- 対策:許可取得の確認(在留カード裏面)+勤務時間の管理を徹底。許可の範囲内であることを常に証拠で説明できるように。
よくある質問(Q&A)
Q1. 家族滞在でフルタイム就職できますか?
原則できません。フルタイム就職を前提にする場合は、仕事内容に合う就労系在留資格への変更を検討します。
Q2. アルバイトは必ず許可が必要ですか?
原則として資格外活動許可が必要です。包括許可を得た場合は原則週28時間以内です。
Q3. 必要書類はどれが「最重要」ですか?
最重要は、身分関係(婚姻/親子)と扶養者の収入・納税、そして住居・同居計画です。まず提出書類一覧(PDF)に沿って揃えるのが安全です。
Q4. 両親も呼べますか?
原則として家族滞在の対象は配偶者・子です。両親は原則対象外のため、別制度の検討が必要です。
まとめと関連情報
- 家族滞在は「扶養」が核心。収入・住居・同居計画を、客観資料で一貫して説明できるように整えることが重要です。
- 働くなら資格外活動許可(包括)を取り、原則週28時間の範囲で管理。
- 不許可を避けるには、身分関係+扶養の実態を証拠でセット化するのが最短です。
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